このジャケット撮影のときが、一番やせていたと思う。カメラマンもスタイリストもデザイナーも素晴らしい顔ぶれが揃い、このフォトセッションは行われたのだけれど、投じられた手厚い予算とは別に、僕個人はとても貧乏だったから。テイチクでのシングルCDはこの「蒼いフロンティア」が一発目。アレンジは高波慶太郎さんで、バックのメンツもほぼピチカート〜オリジナル・ラブ周辺のミュージシャン。上京してからのコンフュージョンをようやく抜け出して、自分の思っている「日本語のポップス」にやっと立ち位置を見いだしかけた作品。ちなみにC/Wの「サテライト848」には「ファッションセンターしまむら」のタイアップがついたらしい……ずいぶんと後になって知ったことだけど。

生涯、「狙って曲を作った」のは、このデビュー曲だけです。24回、25回とPOPCONの北海道地区大会へ行って。三度目の正直ってことで「そろそろ自分の番かな？」と。高校受験終わったばかりの脳みそには「POPCON傾向と対策」みたいなものが薄ぼんやりとあったのでしょう。ある日、ぽろっと出来た曲が、そこにスポッとハマった。大学1年でこのドーナツ盤を出したことで、いろんなことが動きだしたわけですが、「傾向と対策」をやっちゃった自分には何だか「後ろめたさ」があり。以後、狙った作品を作ろうとか、何かのムーブメントに乗ろうとか、そういう誘惑には極力乗らないでやってこれました。そんな意味でも、この歌には感謝しています。編曲は「あの」瀬尾一三さん。素晴らしいです。今は『POPCON'80s』というオムニバスでCD化されています。iTunes Storeで単品購入も出来るみたい。